カテゴリー: ポーランド

  • WW2を考える③ 〜アウシュビッツ強制収容所〜

    『アウシュビッツ強制収容所』

    きっと誰もが聞いた事のある、
    ある種呪いにも似た響き。

    世界遺産(負の遺産とも呼ばれる)に登録された、
    有名なナチスの強制収容所です。

    『シンドラーのリスト』や、『ソフィーの選択』など、
    映画、小説、その他様々な分野で取り上げられています。

    正直、とても気が重いです。
    ワルシャワ蜂起博物館も、パヴィアク刑務所も、
    決して気軽に考えたり、文章に書いたりできるような場所では
    ありませんでしたが、そこは訪れてから2日経った今でも、
    未だ正体不明の感覚にとらわれる場所であったからです。

    しかし、できるところまで書いてみましょう。

     

     

    アウシュビッツ強制収容所は、
    ・ヨーロッパの中心にある
    ・交通至便
    ・資源、土地の利点
    という理由で特に軍の物資を生産するため、建設されました。

    「アーリア人以外をドイツに入国させない」という政策のため、
    ドイツ各地に点在していた収容所を閉じ、
    他の国に、まとめる必要ができたからです。

    しかし、アーリア人至上主義のナチスによって、この収容所は、
    「絶滅収容所」としての機能を併せ持つようになります。

    優生学を根拠に身体障害者や遺伝性疾患の患者、精神障害者、
    また、労働に適さない女性や子供、老人、ユダヤ人、
    エホバの証人、同性愛者、聖職者、さらにはこれらを匿った者。

    大半はそのままガス室に送られ、
    残った者も、あるいは劣悪な環境で強制労働をさせられ、
    あるいは人体実験の被験者となったとの事です。

    あまりにも大量の殺戮があったため、未だもって、
    その犠牲者の正確な数は不明。

    一説には数百万人がここで命を落としたという報告さえあります。

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    有名なアウシュビッツの門。
    “ARBEIT MACHT FREI”(『働けば自由になれる』)

    強制収容所のスローガンですが、よく見ると、
    Bの文字が反対に見えます。

    これは一説によると、この門を作らされた囚人の
    抵抗とする見解があるようです。

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    強制収容所の中。
    広々としているように見えますが、
    ピーク時には14万人が収容されていたとの事です。

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    被収容者は、列車から降りると、まず全てのものを接収され、
    この縦縞の囚人服が唯一の持ち物となったそうです。

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    接収された大量の鞄。

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    同じく接収された大量の眼鏡。

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    ガス室で実際に使われた薬品(チクロンB)の空き缶。

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    カス室の模型。

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    死の壁。
    多くの被収容者が、ここで銃殺されたそうです。

     

     

    ポーランドで友人になったダリウシュは、こう言いました。
    「日本だってヒロシマ、ナガサキという悲劇があっただろう」

    その通り。
    世界ではじめて、実際に核が使われ、たくさんの人が死に、
    そして、街は破壊されつくしました。

    しかし、エノラ・ゲイを操縦したかのアメリカ人は、きっと、
    そこで暮らしている人々と話す機会は無かったでしょう。

    そして、その爆弾の威力がどんなものかを、
    はっきりと想像する事はできなかったでしょう。

    しかし、顔と顔を合わせて言葉を交わすことができた人間が、
    何年もの月日、人の命を使い捨てにしたこのアウシュビッツは、
    違う残酷さを物語っているように思えるのです。

    きっと、この時代、続く戦争で疲弊した社会で、
    誰もが狂っていたんだと思います。

     

     

    しかし、この種の暴力は現代にも形を変えて残っていると思います。

    「今、会社を辞めれば仕事は無いぞ」
    「みんなもキツいんだから。お前だけじゃないんだから」
    「体内時計? そんなもん壊してしまえ」

    どれも、僕自身、実際に言われた事のある言葉です。

    人の精神を抑圧し、侵食し、
    人間性を壊す暴力は今もなお残っていて、
    それは平気で社会を闊歩します。

    そういうものをどれだけ排除し、
    次の世代によりよい社会を残せるのか。
    それが我々の世代に課せられた課題だと
    僕はそう思うのです。

  • WW2を考える① 〜ワルシャワ蜂起博物館〜

    ポーランド滞在も残す所三日ほどとなりました。
    行きたいところも、だいたい行き尽くしました。

    これから三日間は、僕のこの世界旅行の趣旨的に
    かなり重要な意味を持つテーマを書きたいと思います。

    ポーランドでは、いくつか第二次世界大戦に関する
    博物館に行ってきました。

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    まずは、ワルシャワ蜂起博物館です。

    ※僕はブルガリアから、直接ワルシャワに入ったため、
    巡った順序は、歴史の順序に沿ったものではありません。

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    今年は、ワルシャワ蜂起70周年。
    日本ではあまり語られる事がありませんが、
    1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻から端を発した
    第二次世界大戦では、人口比率(19.0%)からいって、
    一番の犠牲者を出した国です。(参考:Wikipedia

    1944年8月1日 午後5時ちょうど。
    敗色が濃厚となってきたナチスと、それを追い詰めるソ連軍。

    ワルシャワまで10kmまで進軍してきたソ連を頼りに、
    ポーランド亡命政府がナチスに対し蜂起を実行。

    しかし、あまりに多くの人的、物資的資源を
    消耗してしまったソ連軍は、結局やって来れませんでした。

    その結果、ナチスの報復にあった蜂起軍は
    蜂起から二ヶ月後に降伏。

    ワルシャワでは、一説によれば20万人の犠牲者を出し、
    街の9割以上が破壊されてしまいます。

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    『戦士の誓い

    全能の神と乙女マリア
    ポーランドの女王の冠の御前に
    私は祖国ポーランド共和国に忠誠を誓う

    私は固く誓う
    たとえどんな犠牲を払ってでも
    誇りにかけて祖国の自由のために
    全身全霊を以って戦うと

    私はいかなる時も
    選ばれたポーランドの大統領と上官、
    我軍の指揮官に服従を誓う

    そして何が起ころうとも
    機密を守ることを誓います

    神よ、どうかご加護を』

    (上記は筆者の稚拙な訳なので、相違などあればご指摘下さい)

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    ポーランドの尊厳(白)と自由(赤)。

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    少年兵。
    彼らはどれだけの事を理解して、戦いに参加したんだろう。

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    ナチスの腕章、兵士の遺品。

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    蜂起当初は5人に1人程度しか銃を持っていなかったとの事。

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    バイク隊のバイク。

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    砲車の模型。

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    手がもげたキリスト像。

    IMG_1310.JPG戦士の墓。

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    破壊しつくされた街の模型。

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    市街戦に参加した人達の中で、いったい、
    どれだけの人が復興したワルシャワを見ることができたんだろう。

     

     

    ワルシャワ蜂起は必要であったのか?
    そのような議論は今も続いています。

    しかし、ポーランドの人々にとって、ワルシャワ蜂起は
    日本人の戦争に対する、愚かな過ちを繰り返してならない、
    というような感覚とは違うような気がします。

    彼らはある意味、英雄です。
    とても大きな犠牲を払ったけれど、
    そして、二度とあってはいけないけれど、
    命を賭して祖国のために戦った。

    これは僕の個人的な意見ですが、
    祖国に誇りを持つ心、
    そして忠誠を尽くす意思がなければ、
    英雄は生まれないと思います。

     

    そして、この戦いより34年後、
    ポーランドには大きな英雄が誕生します。

     

    19歳の時にナチスによるポーランド侵攻を経験し、
    ワルシャワ蜂起より1年前に聖職者として生きていく事を決意した
    法王ヨハネ・パウロ二世です。

  • ポーランドの物価

    もし、あなたが日本と同じ給料を貰い、
    ポーランドで生活するならば、
    それはとてもイージーゲームです。

    なにしろ、物価が安い!

    例えば、これは、ARKADIAという、日本で言えば、
    AEONのようなショッピングモールでございます。

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    ピンぼけててすまぬ。

    この中には映画館やH&M、iSpot(Apple Storeみたいなの)など、
    独立した店舗はもちろん、銀行や各種携帯電話のキャリア、
    郵便局まで入っているという巨大なモールです。

    で、この中に入っているスーパーマーケットにて、
    そのあまりの安さに度肝を抜かれたので、レポートする事にしました。

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    まず、野菜。ていうか、フルーツ。
    1PLN=32.5円暗いですので、
    4.99PLN=160円
    8.99PLN=300円くらいでしょうか。

    あー、まぁまぁの安さだね、と思ったあなた。
    その考え方は甘い。

    なぜなら、これらは全てキログラム単位の値段なのだから。

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    はい、次はパン。

    食卓に登るような、フランスパンの小さなものであれば、5個で30円ほど。
    一個あたり、たった6円って何それ?
    商売が成り立っているのが恐ろしいくらいです。

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    みんな大好き、ドーナツ!
    これ、99円じゃないですよ。
    0.99PLN。つまり、30円くらい。
    最早駄菓子ですな。

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    なんの変哲もない、クッキーみたいなものであれば、
    20円〜50円の間。

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    コンビニで売ってるようなチョコの小袋も30円くらいからあります。

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    甘いものついでに、アイスクリームです。

    これは、ハーゲンダッツとかになると当然、それなりの値段になるんですが、
    ノーブランドっぽいアイスであれば、1Lとかで100円くらい。IMG_1399.JPG

    乳製品も、20円くらいから食べれたりします。
    チーズも、バターも、ヨーグルトも安い安い。

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    じゃあ、日常生活品はどうなのよ? と。

    たぶん、これは特売のものだと思うんですが、
    シャンプー、リンス類も300円程度。

    Tシャツも、買おうと思えば数百円。
    Pコートなんて、1,500円で買おうと思えば買えるんだもの。

    観光客向けのものや、世界中で出回っているブランドの食べ物、
    または、服飾関係、電化製品は大して安くないですが、
    (Apple製品は日本より、10〜20%高いイメージです)
    選り好みをしなければ、生活費は大してかかりません。

    やろうと思えば、TVでやってる1ヶ月1万円生活なんて、
    ヌルゲー過ぎて、笑っちゃうくらいだと思います。

    11月からフランスとか西洋へ向かうのですが、
    こういう国で長く滞在してると、今から気が重いです。

    さー、残る1周間ほどのポーランド生活。
    謳歌するぞー!!

  • キュリー夫人

    その昔、宮崎吐夢という芸人が歌っていた
    「むしろキューリーはこのアタシ」という小ネタがありました。

    キュリー夫人の夫たる人が、
    「いや、俺が本当のキューリーだから」
    って訴えかけるだけの何の意味も無い歌です。

    というわけで行ってきました!
    この人もポーランドの英雄と言っていいでしょう。
    なんたって、二回もノーベル賞取ってるんだもん。

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    キュリー夫人博物館です!

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    子供の頃、伝記なんかでよく読みましたよね。
    僕も大好きでした、伝記ものの本!

    女性初のノーベル賞学者。しかも、二回も!
    放射能の単位にもその名が使われているほどなのに、
    博物館はかなり簡素。

    普通の民家程度の大きさでした。

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    キュリー夫人の服。

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    実際に使われた研究道具など。

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    え?

    フラスコ? 天秤?
    そんなんで、放射性物質の研究できたの?

     

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    とまぁ、ひと通り見てきましたが、
    本当にこじんまりとした博物館でした。

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    ↑ワルシャワ歴史地区の片隅に立つ、キュリー夫人の像。

  • ワルシャワは萌えていた

    ワルシャワは美しい国です。

    非常にありがたい事に、親日国との事もあり、
    人も親切だし、
    英語も通じるし、
    物価は安いし、

    オタクも居るし。

     

    そう、タイとか他の国でもそれなりのオタク文化はあったけど、
    ポーランドにもオタク文化はけっこう浸透しているようです。

    はっきり言って、ポーランドは台湾と並ぶかもしれない。

    まずは、この写真からご覧頂こう。

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    ワルシャワの地下鉄駅の構内にある、
    一見、普通の書店である。

    しかし、

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    ワンピース、ナルト、黒執事、乙嫁語りetc…
    ちょっと昔のもので、ドラゴンボール、デスノート、ちょびっツなど。

    並んでいるのは、日本のマンガとアメコミがほとんど。
    ちゃんと、ポーランド語に翻訳されています。

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    中にはポッキーなど、日本のお菓子も。
    ※ペペロは日本のお菓子じゃないけど。

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    日本や台湾のアニメイトほど数はないものの、
    初音ミクや、ヘタリア、進撃の巨人などのグッズ物も
    店頭に並んでます。

     

    聞けば、今は日本の漫画がブームになっていて、
    この書店でも、かなりの売上げを上げているそうです。

     

    そういえば。

     

    今、お世話になってるホルトハウスも、電化製品は日本製、
    クリスマスには、お寿司を作ると言ってました。

    ワルシャワ大学には日本語学科があり、
    入試の倍率は30倍にもなる程に、ポーランドには
    日本文化に興味を持ってくれている人がたくさん居るそうです。

    ポーランドは親日の国との話は聞いていましたが、
    ここまでとは思いませんでした。

    日本文化=オタクになりつつあるのは複雑な所ですが、
    まー、いっか! 僕もオタクだもん。

    それに、この美しい国の人たちが
    我々の文化に興味を持ってくれるなんて、
    日本人として誇らしいですね。

    ……などと思いながら、店を出ようとしたところ、

     

     

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    !!!

     

    やおいを……愛している……だと……。

    ホモは、ホモだけは……。

    いやあああぁぁああぁぁ!!!!

    ↑トルコで、ハゲでデブのホモに迫られた。
    ※泣きながら逃げました。

     

     

     

     

     

    今回、色々とお話を伺ったお店はこちら。

    KOMIKSLANDIA.PL

    ありがとうございました!

  • ポーランド着いたよー

    ソフィア→ローマ経由でワルシャワ入り。
    ローマでのトランジットで約12時間ほど待ち、
    ようやくワルシャワでございます!

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    ↑飛行機から見たローマ上空。

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    ↑ワルシャワのショパン空港。
    ヨーロッパのこういうセンスは本当にかっこ良いよね。
    日本でも坂本龍馬空港とかやらんかね?

    AirBnBでお願いしたホストファミリーも
    親日の方で、すごく親切です。

    では、これから観光に出てきます!